Translated into Japanese by ATTAC-Japan.
「焦点が絞れていなかったのでは」と彼らは言う。
抗議者たちは多くの問題を掲げたが、その関連性を見つけるのに苦労したことは事実だ。しかし、それがポイントだ。戦争立案者たちは、善と悪の単純な2元論で海外の反対を阻止するつもりだ。ところが、抗議者たちが掲げた多様な問題は、私たちが今世界で直面する問題がいかに複雑であるか示している。
確かに、「死ぬか生きるか」の軍事主義はわかりやすいが、また世界をさらに危険な場所にするという弱点を持つことも明らかだ。ブッシュは常に「悪の枢軸」のヘッドハンティングの手を拡大しようとしている。ヨーロッパ同盟国と全アラブ世界の反対がなければ、米国はイラクをまた攻撃しただろう。それでも、パレスチナとイスラエルの紛争の拡大がなかったら、米国はイラク攻撃に踏み切っていたかもしれない。
ブッシュ政権のスタッフがイラクへの新たな攻撃にうまい口実を発明できたかどうかに関わりなく、国際的調査のための証拠提出を拒み、薄っぺらな同盟体制を構築し、傲慢な態度を押し通していることは、国際社会の市民を敵に回す行為である。「無限の正義」なる傲慢な理論は「締め付け」外交を永続化するものである。
今回のワシントンDCにおけるさまざまな抗議行動は、ブッシュ政権のカウボーイ外交よりももっと壮大な国際的展望を反映していた。土曜日(4月20日)、数万人のアラブ系米国人とその支持者たちが、攻撃を受けているパレスチナ人へ連帯を示し行進し、米国に対し国際法を犯しているイスラエルへの支援を止めるよう要求した。・・・
また、この破壊活動をコロンビアの問題に結びつけて、米国の軍事援助が準軍事的暗殺者集団を強化したり、内戦を深刻化させるために使われてきたと指摘した。
世銀本部の外では、経済政策に触れ「構造調整政策」がいかに貧困と、「途上国」の数多くの不公正を悪化させてきたか述べた。抗議者たちは、最近の軍事侵攻を、利潤にのみ関心を持つ国際機関のエリートたちを関連付けようとして、「More World, Less Bank(もっと世界のために。銀行はもっと控えめに)」という書いたプラカードを掲げ、「石油のための血を流すな」と叫んだ。
進歩派だけが軍と経済の関連を指摘しているわけはない。ドーハのWTO会議で、米通商代表は、「自由貿易」は外交の国民的関心事の最前線にあり国家安全保障を支持するものだと述べた。米国の石油に対する飽くなき欲を満たそうとする要求は、ブッシュが中東で新たな十字軍遠征を始めんとする際の動機である。
このような例を示しながら、抗議者たちは反テロ戦争がますます「企業主導のグローバリゼーションのための戦争」と同義語になりつつあることを示している。
ブッシュ政権が貿易交渉を進展させるのにテロの亡霊を操ることができたのは、グローバリゼーションへの重大な挑戦である。米国の外交政策を批判するには不利な政治的環境の中で、私たちは自らの支持基盤を拡大するための新たな取り組みをしなければならない。労働運動はこれまでのグローバリゼーションに対する抗議運動の中では米国の広範な層の結集を促進する役割を果たしてきたが、今回のデモでは多くの人を結集できなかった。組合内で戦争に対する意見が分かれたことも原因だ。あるグループは、全国の3分の2の人々が労働者の権利と環境のセーフガードのない新貿易協定に反対しているとする世論調査を示している。一方、戦争反対の立場をとるのは「米国の労働組合のリーダーにとり政治的自殺」だという指摘もある。
しかし、不人気だから正しくないということではない。国内でも、強固で進歩的な団結を構築する取り組みは続くだろう。ワシントンのデモは重要なメッセージを広めた:破壊的一方的外交は、アメリカ国内であっても、もうひとつの世界は可能でありかつ必要だと信じる人々の抵抗にあうだろうということだ。